萎れてしまわないように、洗面台に少し水を張って茎の部分を浸けた。
これで少しの間は大丈夫なはず。
「グレープとピーチどっちが良い?」
机の上には、2種類のゼリー。グレープとピーチ……。
「どっちでも良い……有岡くん先に選んで」
「え、どっちでも良いが一番困るんですけど」
「だって本当にどっちでも良いんだもん」
「俺も買う時迷ってさ。岡本に決めて貰おうって思ったんだけど」
「えー……」
さぁどっち!と既にスプーン片手にあたしの選択を待つ有岡くん。
グレープ、ピーチ……
「じゃあグレープ……」
「おっしじゃあ俺ピーチね!」
なんだ、この会話。ゼリー一つ選ぶのにここまでテンションが上がる有岡くんはすごいと思う。何て言うか……元気が良い。
「……いただきます」
小さなスプーンにこぼれ落ちるのでは無いかと言うくらいゼリーを掬い、危なっかしく口へと運んだ有岡くんを見た後、ゼリーを掬う。
ふわっと匂う、グレープとピーチの香り。
「美味しい?」