先生との恋☆Second・Story☆完結☆


[……もしかして俺の事知らない?]



控えめに聞かれて、申し訳ないと思いながら頷く。だって、知らないもんは知らないし。


擦れ違ったりは在籍していた3年間のうちに一回くらいはあったかもしれないけれど。

擦れ違う人をいちいち覚えたりしないよ。


それに途中入院してた時があったから。

クラスの人の名前と顔を一致させるのだけで精一杯で……。

行事の時にすっごく目立ってインパクトがあることをした……なんてことがあったら顔くらいは覚えていたかもしれない。


だけど、それも思い返しても全く。


[そっか]


しゅん、と、少し淋しそうな顔をした有岡くん。


[ごめん……]

犬みたいだな。と思いながらも申し訳なくて謝る。


[や、良いよ良いよ!逆に離れてたのに知ってた方が奇跡に近いし]




……じゃあ何で。


有岡くんはあたしを知ってんの。思わず心の中で突っ込む。

これは気になる。


あたしだって目立つようなことなんて一回もー……、


あぁ、病気で倒れて救急車で運ばれたのはちょっと、いや、かなり目立ったかも。


[何で有岡くんはあたしをご存知で……?]

[え?自覚無かったの?有名だったじゃん]

有名だった……? やっぱり、病気で、って事?


中学の経験を踏まえて、高校は隠し通せると思って病気のこと、周りに黙ってたんだよね。

もちろん健康診断書には書かれるから先生達は知ってたけど。