「でも疲れてるみたいですし」


「だから休んでいくって言ってるんでしょ」


良いから早くその子を連れて行って。あたしから離してちょうだい。


疲れてるのは高橋のせいだ。

次から次へとなんでこう。

…やっぱり入院なんてするんじゃなかった。


「大丈夫だから…」

肩を持つ高橋の手を掴んで降ろさせて、行け、と押そうとした時。









「うっ…くっ…」








―――聞こえてきてうめき声にあたしも高橋もお互い視線を合わせて……一瞬固まる。







そして反射的に視線を動かせば…。






胸を押さえて地面に膝をついてる神田さん。


苦しみだしたその子にあたしは動けない。






――――すぐに動いたのは高橋。



「神田さん!?大丈夫ですか?」


「…せんせっ……っ、」


「すぐに中に…」

…まるで、”あの日”のあたしと高橋を客観的に見ているような光景で。

あたしだけ時間が止まったかのように動けない。








「すぐ楽になりますからね…!」




電話しようとピッチを取り出した高橋の手を神田さんが勢いよく掴む。


え、と高橋が神田さんの顔の覗き込んだ。