ぐっと立ち止まる体。
仕方なく振り向けば、高橋の腕に捕まったその子があたしをじいっと見ていて。
「…誰?」
あたしを見た後、高橋を見上げて聞く。
「僕の担当さんですよ」
「どーも」
「こんにちは…」
何この差…。笑顔ひとつない形だけ仕方なく交わされた会話。
肩につかないくらいのボブを内側にカールさせたブラウンの髪の毛。
入院患者とは思えない、見舞客ではないかと思ってしまうようなバッチリと、それでいてナチュラルなメイクにファッション。
女子力がすばらしい。
自分の今…
そして前に入院していた時の姿を思い返せば恥ずかしくなる。
染める気すらおきなくて、ボサボサの髪の毛に、ジャージですっぴんだったなぁ。
今もすっぴんだけど。
「高橋先生はあたしの担当医なんで取らないでくださいね」
「……」
ぶすっと膨れて睨んできたかと思えば、綺麗に塗られたグロスの向こうから敵対心丸出しの言葉が飛んできた。



