「おはよう、岡本」
更衣室を出れば、ちょうど反対側の男子更衣室から出てきた人物に声をかけられ、そちらへ顔を。
「おはよ、有岡くん」
あたしと同じ制服を身にまとい
でもまだボタンは軽く開いていてネクタイを締めてる。
スラッとした体型に制服がとても似合っていて羨ましい。
「今日客多いみたい」
ネクタイに集中しながら口を開く有岡くん。
「あー、それさっき先輩に聞いた」
「俺も先輩に聞いた」
そう言って、笑う有岡くんに自然と笑みが零れる。……あの人、皆に愚痴って回ってんの。お客が多ければ多いほど働きがいがあると思うけど。
”働ける”
その事自体があたしにとっては嬉しい事だから、ダルいとかキツいとか思わないんだけど。
慣れれば、そう思うようになる日もくるのかな。
「あ、笑った」
「……笑うけど?」
あたしが笑うと、毎回有岡くんはそう言う。
「や、なんか。変わったなーって思って」



