少し驚いたような声音で、静かに聞き返してくる高橋。


さっきまでの言い合いが嘘のようにパッタリとお互いの様子を伺い合うような雰囲気になってしまった。

“以前”なら、高橋が嫌って言うだろうし女の先生が変わってくれたなら感謝していたと思う。


だけど……。

「傷、高橋以外に見せたく無い、な」



まだ、高橋と清水先生、そして消毒に来てくれていたあの看護師さんにしか見せていない傷。


親にも、見せる機会が無かったしわざわざ見せようとも思わなくて見せてない。出来ればこのまま見せないつもり。


自分でさえも、なるべく見たくなくて目を逸らすことが多いのに。


この傷を見せる人数をできるだけ少なくしておきたいと思っているけれど、今日また見せた人数が増えてしまう。

見せたく、ない。


傷が出来たことはもう割り切れたはずだけど、こうして他の人に見せなければいけないとなるとやっぱり嫌だと思ってしまう。


いくじなし。


しょうがない状況だとは分かってる。


わがまま、だって分かってるけど。


もう痛まないはずなのに。


考えていると苦しくなって思わず傷のある場所を服の上から押さえた。

「そう……だね」