「え、何、何かあるの?」
きょとんと不思議そうな顔で聞かれても……。
須藤先生、に?
「何で須藤先生なの?あたし昨日、高橋だって聞いたけど」
そう。確かに昨日看護師さんに、明日の検査は高橋がするからって。
「嫌だからと言って逃げないでね?」って楽しそうに笑われて言われたもん。
それなのに……。
「あー…そうなんです。僕の予定だったんですけど、“女の私の方が良いでしょう?”って須藤先生が。岡本さんの事を考えてくれたんでしょうね」
男の先生よりも女の先生の方が。
普通なら、その方が良いに決まってる。
だけど……。
「ほら。近々検査で会うかもねって言いましたよね?」
あぁ…。あれはこのことか。なるほど。
…でも。
「高橋が、良かった、な」
ぽつりと本音が無意識に口から出てしまった。
「僕、の方が?」