「明日は当直だけど、今日は帰るよ」

「……そう」

「でも帰って思うよ」


「なんて?うるさい居候がいなくて静かで落ち着くなーって?」

冗談で聞いてみれば。

突然ベットについていた手に、高橋の手が触れる。

見れば、腕枕していない方の手で、あたしの手……指を絡めている高橋。

くすぐったい。

あたしの指を撫でるように遊んでる。


その指が止まったかと思えば。

「違うよ……早く帰ってきて欲しい、と思うよ」


閉じられていた目はいつの間にか開いてあたしを移していて。


この角度からか、あたしの指、そして顔に熱が生じるのが分かる。



恥ずかしくなって、高橋から目を逸らして何もない、白い壁を見つめればクスクスと高橋の笑い声が聞こえた。


わざとやってんの?


「病院では、手術する前の関係だったんじゃ無かったっけ?」

自分でも可愛くないと思う。

だけど、つい言ってしまうのがあたし。

「そうだけど。今お昼休みだから」


「何それ。意味分かんない」




都合良すぎ。

お昼休みでも、今看護師さんが部屋に入ってきたらどうすんのよ。

手を振りほどきたいけど……しないのは、あたしも少しは許してるからか。

「疲れて寝呆けてるんじゃないかとでも言っといてください」

「は?自分で言いなよ」



「厳しいですね……」