「ほんとに?」
「うん、ほんとほんと」
あまりにも可愛く聞かれるので頭を撫でてあげれば目を細めて高橋から離れた。
「高橋先生……ごめんね」
眉を下げて申し訳なさそうに言うその子。
可愛い。
「いいよ」
笑って頭を撫でてあげる高橋。微笑ましい光景だなぁ。
癒しだ。
「って……アキラくんこの部屋から出てきたけど、部屋違うでしょ?何してたの?」
立ち上がった高橋は、男の子……アキラくんって言うのか。をついでに抱き上げて聞く。
あたしより少しだけ高くなった顔があ、って。
窺うような視線で高橋を見上げて。
「……お薬」
「逃げてたんだね」
口をへの字にして頷いたアキラくんに
まるで誰かと一緒だ……と呟くように続いた高橋の言葉。
何、あたしって言いたいの。
確かにご飯を食べる度に何錠も種類がある薬を飲むのは嫌だった。
だけど、それが嫌だからと言う理由で飲まなかったことも逃げたこともない。
心外だ。
ちょっと、って言おうかと思ったけれどこの子に言った手前、言えずにグッと飲み込んだ。



