思わず顔を歪めれば、
すぐ後ろから「ごめん」と高橋の声が降ってきた。
引かれて傾いていた体勢を整えて、すぐに足元を見る。
あたしの出した声に驚いたのか、目を見開いたその子はピタ、と立ち止まってあたし達を見上げていて。
ぶつからなくて良かった……
安堵しながらも、固まったままの男の子。
いくつくらいだろ?
「大丈夫?」
声をかければ、大きな瞳はあたしを映したまま、コクンと頷く。
そしてそのまま視線はあたしから移動して……
「あ!高橋っ!」
びっくりしていた表情が、突然満面の笑みに変わり、高橋を指差した。
…………うん。
高橋だよ。高橋。間違ってない。だけど……
「高橋“先生”だってば」
少し拗ねたような声がして、あたしの隣にいた高橋が動く。
膝をついて男の子と目線を合わせれば、男の子は嬉しそうに高橋に抱きついた。
キュ、と小さい腕を必死に高橋の首へ回す姿は、それはもう可愛い。
「高橋どこいってたの~??」
「…だから先生だってば」
こら、と高橋がぽんぽんどの頭を軽く叩くと、大きな瞳があたしを捕える。



