「ご飯食べた？」
「食べました」
「そっか」
食べてから来たんだ。
前を向いたまま話すのは、大したこと無いこと。
「あっ！」
高橋の視線が、ふと下に下がったと思うと上げた声と同時に手から抜き取られたペットボトル。
ラベルをまじまじと見た後、怖い顔をした高橋があたしを見る。
「……これ、」
「あー、待って待って！中身水水！」
「…は？」
怪訝そうな顔をする高橋に、飲んでみて、とソレを指差す。一瞬嫌そうな顔をしたけれど、大人しく蓋をあけてそのまま飲む高橋。
すぐに分かったのか、口の中で味わうように少し保持した後、飲み込んで蓋を閉める。
「何これ。どうしたの？」
「…聖くんの悪戯」
あたし悪くない。聖くんのいらずらのせいで怒られなくてもいいことでお説教を食らうのは嫌だ。
ごめんね、聖くん。
さっきあたしに丸投げした仕返しだ。
今度会ったら怒られてください。
