咄嗟に別のことをさも事実のように喋る。
嘘ではないけどね。本当にその通りだし。
「検査する為に入院したんでしょ?」
少し呆れたように笑みを交える高橋に何故か安心する。
あぁ、気付かれなかった。良かった。と。
「そうだけどさ……」
「聖も。わざわざ会いに毎日来るなんて……」
「通ってますよーお嬢の為に」
「暇人?」
「まさか。リハ室やベッドサイドでやってんの見てんだろ?どこが暇そうなんだよ」
「じゃあ早く戻ったら?」
「心ちゃんに癒されよーと思ってね。って、やきもち?」
ヘラっとふざけて笑った聖くんを見て、バシッ、と高橋が無言で聖くんの頭に手のひらを落とした。
すごくいい音がした。痛そう。
「痛ぇ……」
自分の頭を擦りだす聖くんを見ながら、あたしはさっきの続きを思い出した。
聖くんさっき、何を言い掛けたんだろう。
すごく気になる。



