コンコン。 ドアがノックされた。 「カノー。ナインー。開けろー。」 あ、チヨ君の声だ。 「今開けるー。」 チヨはノートパソコンを片手に立っていた。 「どしたの?」 「ガクのことでちょっとな。」 「まあ入りなよ。」 「おう。」 あの九条とかいうやつのことかな。 「ガクは小学校のころ九条にいじめられてたらしい。」 「え。」 「それほんとか!?」 「ああ。」 チヨ君の顔が険しくなった。 「ガクん家は転勤族だから、九条のいる学校にいたのは小4から小6までの3年間だけだけどな。」