[隥本]

ぱち、と目が覚めると久留米の店の住居スペースの、ベッドの上だった。

簡素なベッドの上から身体を起こすと、隣のベッドで作家先生が寝ているのが分かる。

昨日酔い潰れてしまったのを、久留米が運んでくれたらしい。

時間を見ると、午前10時。
ケータイを開くと、メールが来ていた。

『帰りが遅いけど、どうしたの』

お母さんみたいだな、と呟き、気づくと、久留米が入り口に立っていた。

「茜ちゃんはそろそろ帰った方が良いかもねえ」

「誰が茜ちゃんだ!気持ち悪いーーーーー……げっ」

その後ろに立っている人物を見て、背筋にスッと冷たい汗が伝う。