一人で震えていると、決まってベリルが側に来て、何か言う訳でもなく落ち着くまでずっと近くにいてくれる。

 顔には出さないけど、いつも見ていてくれているんだとホッとした。

 そうやっていつも気が利くベリルは、やっぱりズルいと思う。

 俺が敵う要素も、俺がベリルを守る時がいつか来ると思う要素も、まるで見つからないんだから。

 一人前になれば親を守るものだという概念は、生憎とうちには存在しない。

 そのおかげで俺はこうして多くのことを学べる訳だけども、師を越えるっていう目標は果たせそうにはないね。

 残念なような、それはそれで面白いような。

 とにかく、なんでも楽しめれば俺の勝ちだ。