アセトアルデヒドの悪戯(イタズラ)

あれは正樹だった。

6つも年上なくせに、小さくて、体が大きかったあたしと、あんまり背格好が変わらなかった。

その、正樹が、小学校6年生のとき、好きだった子がいた。

あの子が、唯一だったんじゃないかと、今は疑わしい。

その子がいる前で、正樹は、泳げないことを、仲間にけなされた。

男の子っていうのは、小学生っていうのは、どうして、仲間にああも残酷になれるのか。

仲間の中の一人があの女の子で。

女の子も、一緒になって、けなしていた。

今思えば、彼女も、悪気はなかったんだろう。

ただ、その場のノリと勢いと、小学生らしい、残酷さと。

正樹の気持ちを知らなかったって事実。