愛乗りシンドバッド

手すりを使って
なんとか砕けた腰に鞭打ち
様子を見ると、
かろうじて焼き鳥にされず
逃げ延びたルフも
何匹かいるようで、
黒いシルエットが
海の彼方へ消えていく。

海上に降雨のごとく
立ち上る炎は
なんだか息苦しさを
感じさせる。

これはただ事じゃない。

怪鳥の羽根。炎。
若者やサーファーが多く集う
由比ヶ浜は騒然として、
人々が会ったこともない
他人と顔を見合わせて
驚きを打ち明けている。

「……な、なあ、
わかるなら教えてくれ。
これは一体
どうしてこんな事が……」