愛乗りシンドバッド

優雅に飛んでいたカモメも、
白い頭の鷹によく似た
そのルフという怪鳥に
瞬く間に飲み込まれた。

そして一羽のルフが
頭上で旋回したかと思うと、
翼をすごい迫力で
大きくはためかせ
地上に近づいてくる。

……あ、あいつ
着地しようとしている。

無論、浜辺には
巨大なルフが降りたつほどの
スペースはなく、
落ちてきた羽毛だけで
海の家の屋根が
崩れそうなくらいだった。

だが為すすべもなく
ルフの鋭く湾曲したカギ爪が
俺のすぐ目の前まで迫った時、
ハルが指笛を鳴らし
何かをそいつに投げつけた。