愛乗りシンドバッド

「ハヤト。信じてないだろ。
ま、私は言葉で
言うよりも何よりも
その目で見るのが
手っ取り早いと思うんだよな」

ハルは横取りした
氷あずきを持って身を翻し、
今度は白い手すりの上へ
2本の足で立った。

相変わらず
すごいバランス感覚である。

ハルは再び
サングラスをかけて
陸側の空を見上げた。

俺がついつられて
視線の先へよこすと、
そこには見るだけで
蒸し暑くなりそうな
立派な入道雲。

その雲の合間から
鳥らしきものが
ゴマでも振ったかのように
這い出てきたところだった。

するとアッバーサと
いった彼女は
小さな体を寄せてきて、
大胆にも俺の腕にしがみつく。