愛乗りシンドバッド

アッバース朝――。

白いローブの彼女が言う
王室の血筋。

なんか聞いたことがある。

教科書の隅に載ってた、
確かアラブかなんかの
王朝じゃなかったか?

「アラブじゃなくて
イスラーム王国」

「そーですよ。
世界の道は
帝都アッサラームに
通じているとさえ言われた
めくるめく
夢のような王国なんですから」

彼女達はどことなく
誇らしげに、
それでいて毅然としていた。

でもそんなことを
言われたって、
それは過去の話だしな。

そんなことよりも
俺達が巡り合えた
ことのほうこそ
めくるめくロマンのような
ものを感じるけど。