愛乗りシンドバッド

ハルはそのスプーンを拾い
先を舐めて唾を吐きだし、
彼女が持っていたかき氷の
練乳がかかった
あずき部分だけ
四の五の言わせず
たっぷり口にくわえた。

「えっと、
お二人はお友達とか……
なのかな?」

呆然と俺を見つめる
白いローブの彼女は
ハッと我にかえる。

「……いえ、コホン。
私たちは姉妹です」

「姉妹!?」

「ええ、
ハル様はアッバース朝の
正統なるカリフ継承者。
そして私は
その妹のアッバーサ。
王室の血を引いた
皇族ですわ」