愛乗りシンドバッド

……くそぅ

国道をひたすら
真っ直ぐ走り
バイパスに乗る。

……なんでだよ

バイパスのETCを
スピードを落とさずに
高速に入る。

……俺には
何が足りなかった?

どんどんと感情の赴くまま。
緑の覆い繁る
色とりどりな街並みを
縫うように走る首都高速。
思い出の横浜の街を抜けていく。

横横道路から本牧の港のほうへ。

東京の端の西多摩から
東京湾までがむしゃらに
走り抜けて、
このあたりまで来ると
交通ルールなんか
どうでもよくなってしまい、
細くぐねる狩場線の道を
思いきりアクセルをあけて
体を傾かせていた。