愛乗りシンドバッド

うわ……うめぇ……!
鳥肌がたつ。

サイドミラーに赤灯が
廻っているのが見えた。
ただ、クラッチを
強く繋げるたびに
小さくなっていく。

どこかに向かっているのか、
ハルは高速のインターを
突破すると
そこからはフルスロットルで
緩い勾配が続く道路を
南へ突っ走った。

ロープは生きているみたいに
動くし、
無茶苦茶な走りをするし。

もちろん病院から
勝手に連れ出された文句を
ぶつけてやりたかったけれど、
その前に正直
こいつの運転テクニックに
しびれている自分がいた。

走りに迷いがないうえ
バイクの性能を十二分に
引き出している……。

「はは、なーに!
お前にもできるよ!」

風を裂きながら
ハルは言った。

そしてあろうことか、
その場で跳び箱の要領で
俺の後ろに周り、
時速180キロの
不安定なハンドルを
俺に持たせやがった。