愛乗りシンドバッド

見るからに
刑事ではないし、
深い顔のシワと
殺気立つ眼光を隠すように
『クーフィーヤ』と呼ばれる
黒い布きれの帽子を
頭から垂らしている。

「わかった。
ハーリド。
お前はファドル達と合流して
永田に指示を出せ。
あとは私の合図を待て」

「……アラーの召すままに」

意味深なやりとりの後、
その男が消えると部屋には
もちろん不穏な空気が漂った。

だが、抑えつけていた
隣の女は
そんな空気なんか
知ったこっちゃないと
いうように、
俺のベッド脇の
サイドフレームを掴んで
いきなりベッドを
ひっくり返しやがった。

「けしからーん!」

俺は床にころげた。