愛乗りシンドバッド

若干嬉しそうにナイフを持つ
その女の腕をとって
俺はあわてて制止する。

「や、やめろって。
……刑事が
あんたを探してるんだ。
こんなところで
騒ぎをおこすなよ」

高い所から落ちたのは
おたがいさまだし、
俺は別にこいつを
恨んでるわけじゃないから
警察にむざむざ
捕まらせるのも
可哀想な気がした。

……だけどこんな物を
振り回す馬鹿じゃ
かばう必要もないのか?

とゆーか、
こんな所で
去勢手術なんか見たくないわ。

すると部屋の扉が
蝶つがいの音を鳴らして
静かに開いた。

そこにヒラヒラの
ガウンのような
黒衣装をまとう、
またしてもアラビア風の
男が立っている。

「……お嬢様。
準備は整いました。
そろそろ出向かれては」

不気味な出で立ちだし、
その声は何日も
水を飲んでいないような
しゃがれた声だった。