そして玄関から
泣きながら走ってきた
看護婦さんに
抱きかかえられると
貧血をおこしてるのか
俺の意識はまた
もうろうとしてきた。

……俺に足りないもの。
少なくとも今は
血が足りてない気がするな。
仕方ない、寝よう。

――と、そのまま
不可抗力ながら
看護婦さんのひざ枕で
素早く眠りにおちた俺。

それに起きてると
何故か不思議と
看護婦さんの感情が
伝わってきて
なんだか船酔いみたいに
目が回ったんだ。