愛乗りシンドバッド

俺に近づいてくるそいつの顔。

よく見れば大きな瞳に
通った鼻すじ、
態度や行動から
つい男かと思っていたが
まじまじと見たら
女だって事に気づいたんだ。

「フフ、お前は
私に選ばれた男だ。
さあ、
運命の出会いにキスをしよう。
恋に落ちたシェイクスピアと
ヴァイオラのように…。」

なんて夜空を仰ぎながら
小躍りしたかと思うと、
何を考えてるのか
いきなり迫ってきた
アラビアン風のこの人。

「ちょっと!?」と
看護婦さんが横やりを
入れようとしてくれていたが
それを振り払って
首に手を回してくる。
。

……な、なんだこの人。
…王?
バカとしか考えられん。

なんかさっきから
不思議に会話を
合わせてくるし、
キスなんてするわけない。
何が狙いなんだ?

身をのけぞらせながら
その人に気を
とられていた時、
看護婦さんが
切るように叫んだ。

「危ない!」