愛乗りシンドバッド

「死ぬ気はなかった?
私が来るのが遅かったら
お前はあのドラのように
今ごろ地面へ真っ逆さまだ。
ハヤト、
私は世の中の全ての事が
わかるんだ。」

その突拍子のない言葉に
俺と看護婦さんは
顔を見合わせた。

……とんだ危ないやつに
目をつけられてるもんだ。

看護婦さんも同様に
顔をしかめている。

すると彼は
顔半分を覆っていた
布切れを剥がして
口惜しげに言ってきたんだ。

「聞け、私は王だ。
侮辱する輩は本来なら首を
跳ね飛ばしている所。
だが今回は
青天にイカヅチをうつ話だ。
特別に許してやるが
今度からは気をつけろ。」

と、またも心を
見透かしたような話し方。
まぁこれくらい
俺らの顔色を窺えば
予測できそうな気が
しないでもないが、
それよりも俺は
気にかかった事があった。