愛乗りシンドバッド

「…ぷーっ、くっくっくっ、
……いたそっ。ひっひっ。」

その痛みときたら
頭の芯を貫かれたよう。
俺はやっとの思いで
顔を上げ男を睨む。

……痛いじゃんかよ、
くそぅ。

「よかったなー
あそこから落ちて
死ななくて。」

「別に死ぬ気は
なかったっつーの!
いってー、なんなんだよ?
そのドラは……
だいたいあんたは誰?」

俺が少しイラついて聞くと
その言葉を聞いて
急にマジな目つきに変わる。
そして俺が頭をぶつけた
重たそうなドラを
棒ごと持って
先ほど俺が
もたれかかっていた
屋上の手すりに
思いっきり投げつけた。

すると錆びた手すりは
根っこの所から腐ってちぎれ
真夜中にけたたましい
音をたてて
下に落ちていったんだ。