愛乗りシンドバッド

「看護婦さん、
心配してくれてありがとう。
やっぱりそっち側に行く」

と、貴人の意に反して
彼女の手をつかんだ時、
その得体の知れない男は
ため息をつきながら
服の中からゴソゴソと
何かとりだした。
横目で見るとそれは……ドラ?

節がある長い棒を
組み立てていき
それにドラを吊るす。

「後悔するなよ、ハヤト。」

その行動の意味は
わからなかったが
なんだか不吉な予感が
俺の胸の内で
波風をたてていた。