愛乗りシンドバッド

「危ないですよ」

振り向くと
そこには花瓶の彼女。
懐中電灯を持ちながら
吹きすさぶ風で
髪をおさえていた。

「……じっとしていたくなくてさ。
逆にこっちのが落ち着く。」

手すりをつかみながら
俺は少しずつ後ろに
体重をかけていく。

だけどもう頭も冷静だ。
つまんないなとは思うけど
別に死のうとは考えていない。