愛乗りシンドバッド

「あ、あれ?
花瓶の花、替えました?
もっとこうレモンみたいな
匂いかと思ったけど……」

「さあ。他の看護婦かしら?
私は知らないわよ」

「あそ。まぁいっか。
鼻がいかれちゃったかな。
ははは」

白い花からの香りなんぞ
どーでもいい。

人を殺してしまったのだろうか?

死に際に見る
走馬灯の類じゃ……。

いや、幻覚を見たっていうのも
信じがたいことだけど、
どーすれば……。


「まぁ橋から落ちればね。
ガハハハ」

と、なにも知らずに看護婦長。

……さっきあんたに
殴られたんだけど。