愛乗りシンドバッド

その視線がなんだか
照れくさいのもあったし
俺はふと目についたから
ごまかすように聞いてみた。

「ねぇ、その花は?」

「これは
アラビアンジャスミン
ですね。
先ほど女性の方が
置いてかれたので……。」

「女性?」

「ええ。
とても気品のある人でした。」

そう言いながら
白くて小さな花の香りを
楽しむその人。

(羨ましいな……)

そして小さな声で
つぶやいたんだ。