愛乗りシンドバッド

海が壁になって近づいてくる
あのひんやりとした感覚も
まだ生々しい。

……危なかった。
1つのことに執着して、
まわりが見えなくなるなんて。

太い筋肉注射針を尻に
何本ぶっさすとしても、
あの不快感には
とうてい及ぶまい。

病院の天井のシミを仰ぎながら
しみじみ痛感した。

……バカだな。

勢いに任せたのはさておいても、
彼女の気持ちも考えず
1人突っ走ってどーする。

自分勝手すぎて
独りよがりの情死きどりだ。