愛乗りシンドバッド

……なんだあれは?
まさか。いや待て。

「離せよこいつ!
ふざけんじゃねーぞ」

しかし抵抗もむなしく
大男はついに
茶だんすの前に立つ。

異空間が広がっていた。

――時空の穴。
黄色や青や紫の光。

それは天の川というより、
怪物の口があんぐりと
引き出しの中で
待ち受けているようであった。

「またねハヤト」

最後に赤い帽子の女は
俺に確かにそう呟き、
あとはもう振り返りもせず
ハルに向けて刀を抜いた。

ジン……おまえは……
やはり……古鳥なのか……?

そして俺たちは
その引き出しの中に
軽々と放り込まれてしまった。

ハルを残し、非力を味わい、
友の心を疑う。

人生最高の
トラウマになりそうな、
そんな予感を渦巻かせながら。