愛乗りシンドバッド

「シンドバッド様。
今日はこのまま
泊まっていってね。
いえ、ハル様もきっと
そのつもりだったのでしょう。
40人いる召し使いにも
そのように伝えてあります。
用がありましたら
彼女たちを何なりと
申し遣わしてください」

アッバーサさんが
俺の言葉も待たずに
両手を強く叩くと、
数人の美女が
椅子の後ろに並び、
まずは大きな扇子で
仰ぎはじめたりする。

せっかくの2人の雑談に
水をさされた気分でもあるが
どうも圧倒されてる
俺でもあった。

……いかん、
しっかり男らしく
振る舞わねば。
これでもし
愛想つかされるような
ことがあれば、
俺は立ち直れないかも
しれないぞ。

失恋の傷というものは
マイナス思考の鎖で
がんじがらめにするような
ものなのだ。

ふむ。