「そのカリフっていうのも
実はよくわからないんだけど、
カリブの海賊……とかじゃ
ないですよね?」
アッバーサさんは俺の口元を
ナプキンで拭きながら
「もちろん」と頷いた。
「『カリフ』は
唯一神アラーの使徒である
ムハンマドの世襲で、
神権を統べる指導者のことよ。
ムハンマドとは、
昔から人々に神の言葉を
聞き入れることができた
預言者だと伝えられてるの。
そしてその預言者によって
記された聖典を
代々カリフが受け継いでいき、
神の言葉によって
国はその行く末を示され
民は迷わずに正しい道へ
導かれていったと、
私は小さい頃から
聞かされていたわ」
飲みすぎたせいか
火のゆらめきのせいか
瞳を少し振れさす
アッバーサさんであったが、
それを聞きながら俺は
ハルの純朴な顔を
思い浮かべていた。
実はよくわからないんだけど、
カリブの海賊……とかじゃ
ないですよね?」
アッバーサさんは俺の口元を
ナプキンで拭きながら
「もちろん」と頷いた。
「『カリフ』は
唯一神アラーの使徒である
ムハンマドの世襲で、
神権を統べる指導者のことよ。
ムハンマドとは、
昔から人々に神の言葉を
聞き入れることができた
預言者だと伝えられてるの。
そしてその預言者によって
記された聖典を
代々カリフが受け継いでいき、
神の言葉によって
国はその行く末を示され
民は迷わずに正しい道へ
導かれていったと、
私は小さい頃から
聞かされていたわ」
飲みすぎたせいか
火のゆらめきのせいか
瞳を少し振れさす
アッバーサさんであったが、
それを聞きながら俺は
ハルの純朴な顔を
思い浮かべていた。


