愛乗りシンドバッド

――ドカァーンッ!

――バリバリバリィ!

バイクが欄干にぶつかる
雷みたいな
ものすごい音がしたけど、
それがベイブリッジの
柱塔とバイクの衝突音だって
気がついたのは後のこと。

だって何十mか真下には
マリンブルーの海面で、
ぐるぐる回る景色には
何度も通い慣れた湾岸線、
そこら一帯で煙を噴き出す
灰色のコンビナート。

考えられないよな。

ベイブリッジから飛んだのさ。

バイクの欠片が周りにひしめき
キラキラ綺麗な虹色に
反射するのを見て俺は思った。

しょーもない運命を
願ったもんだな……。

……さっきの人は?

空にそびえ立つ入道雲みたいに
颯爽と港町を見下ろしていた。

……不思議だったけど
変な人だよな。

……巻き込んで悪かったけど
……まぁいっか。