愛乗りシンドバッド

もう1つ、
極めつけといったら
時を翔けてきたといっている
このアッバース姉妹だ。

やっぱり敷地が敷地なだけに
なにか疑念が
膨らむのだろうか。

……ちょっと怖くなってきた。
実はあなた達は
犯罪者とかじゃないですよね?

俺が視線を送ると
アッバーサさんは
赤ワインをおいしそうに
口に運んで
顔をほころばせていた。

「いい気持ち。
私の国では
禁酒の戒律があったから、
おおっぴらに飲めなくて……。
シンドバッド様。
ここは何もないところだけど
どうぞくつろいでいってね」

ちなみに俺がなぜ
シンドバッドなどと
呼ばれているかについては、
差し支えのある事情により
あらためて
言うことでもないだろう。