愛乗りシンドバッド


部屋の周りには
金糸を織り込んだ幕を囲み、
立派な貴金属や
調度で飾られている食卓には
あまり見たことのない
様々な食材が並んでいた。

シチューの味がする
色とりどりのパン。
透き通るほどのスープ。
宝石の粉でもちりばめたように
輝く大きな肉など
見た目は異質であったが
それはうまい料理であり、
湯気にさえ食欲が
そそるほどである。

「こんなものが
この世にあったなんて……。
不思議なもんだ」

「喜んでもらえたなら
嬉しいな。
たくさん召し上がってね。
まだまだたくさんあるから」

アッバーサさんは
大きな机の対面にいた。

食器は皿以外に
ほとんどないが、
マナーも知らんし
妙にソワソワするな……。