「ああ、アッバーサさん!
気分は良くなりました?
ハルにここで待ってろって
言われたっきり
2人とも姿を見せないし、
どーしたもんかと
思ってました」

「あら、そのわりには
寝癖がピョンッてついてるよ」

と、頭からかぶせた
黒か紫に近い
薄いベールの下で
ころころおかしそうに
笑っている。

「でも迷惑かけてすみません。
私はちょっと
入浴してまいりましたの。
潮風にもあたりましたし
気持ち悪くって……」

そんな彼女を見て、
俺も少し安心する。

外はすでに日が落ちていた。