愛乗りシンドバッド

素早く通り過ぎる車と電灯。

目の前にひろがる
横浜の工業地帯。

港や東京湾には
重油のタンカーや客船が
たくさん浮かんでいた。

そして湾岸に幅広く架けられた
ベイブリッジへ合流する
最後の緩いカーブでは、
とてつもなくアクセルをあけた。

青い空へ伸びていくほどの
上りの坂道で
俺だけがスピードに
乗っていくように。

……はぁ、
…は、……はっ。

呼吸は定まっていない。

もうすぐで橋の頂上。

瞳孔はすでに開ききっていて
周りに光の筋も見える。
それはタイムトラベルでも
しているよう。