「……ごめんね」 その子は泣きながら言った。 少し震えたか細い声。 「……わかった。 じゃあ元気で。」 俺は平静を保って なんとか普段の トーンで別れを告げた。 喉の奥がなんだか苦しい。 受話器の向こう側の彼女は 好きな奴ができたらしくて それをご丁寧に教えてくれる。 別にいいけどさ……。 せめて、泣くなって。 繕おうとしないでくれよ。 ああ、そうか間違えた。 もうモトカノだよな……。