私にもその強運分けて欲しい、なんて思っていると、彼が嬉しそうに席に戻ってくる。 「強運のおすそ分け」 すっと差し出された大きい右手……思わずその手の平の上に、自分の右手を重ねていた。 初めて手と手が触れ合ったその瞬間、回りの景色が真っ白くなった。 私と彼だけの世界――そんな風に思える一瞬だった。 「私も後ろになれるかな?」 「強運もらったんだし余裕だろ!」