モモは、何も言わなかった。 あたしは、黙って駆け出した。 雨に濡れた地面は、踏みつける度にグチャグチャと音がする。 一度も、振り返りはしなかった。 校門を飛び出して、走り続ける。 しばらく、そうしてから足を止める事なく、あたしは歩いた。 降り続く雨。 濡れた前髪。 あたしは泣いた。 いつだって堪えてきた涙を、今のあたしに止められる程の力は残っていない。 すれ違う人が、あたしを怪訝な表情で見ている。 でも、もう、どうでもいい事だ。