『今日の見合いはね、上司に無理やり押し付けられたもので、乗り気じゃなかった。
だから精一杯の抵抗として渡された見合い写真を一度も開かずにいたんだ』





相田さんは耳元で話し続ける。
言葉は耳から頭に入ってくるけれど・・・




『開いて見ていたら、由梨さんに勘違いなんてさせなかったのにね』




正しく理解することが出来ない。




『相手が由梨さんだとわかっていたら、僕はもっと乗り気でここに来てたよ。だって僕は、』





だって耳元で聞く声は、低く、甘さも含んでて何も考えられなくなる。




『あの日、会って以来、ずっと気になっていたから』





それに信じられなくて。





『由梨さんが気になって仕方なかったから』





相田さんが…





『たった一度しか会ってないのに、好きになってたんだ』





私を好き、なんて。