『早坂、そんな冷たいこと言うなよ。笹岡には仕事で世話になってるだろ』




右となりに座る関口くんが早坂くんを宥める。こっちは相変わらず女には優しい色男ね。




『恋人と別れて傷心の笹岡を少しは慰めて話を聞いてあげないとダメだよ』




･･･優しいけど、女心はいまいち理解できてないようね。
傷心とか慰めるとか大きなお世話よ。

お情けで付き合うくらいなら飲むのに付き合ってくれてるだけで十分よ！




はぁ、とひとつため息をついて、椅子から立ち上がる。




そんな私を両サイドから見上げてくる二人。




「ありがと。大分気分も晴れたから今日はもう帰るわ。奢りでいいのよね？」




お金を出しても返されるだろうと予想して聞けば、『もちろんだよ』という関口くん。




それにもう１度お礼を言うと、隣の早坂くんが『送ろうか？』と聞いてくる。
私は首を横に振って断った。





「送る気なんてないでしょう？家が逆方向の私を送ったら帰りが遅くなって、亜希ちゃんが心配しちゃうわ」




私がそう言うと早坂くんは『まあな』とあっさり肯定した。