『最初は戸惑ったけど、けどすぐにそれも無くなりましたよ』




「どうして?」




『ーー彼女がとても幸せそうだったから』




そう言って笑みを浮かべた姿に思わず見惚れてしまった。




『元々勤めてた会社でもあるからだろうね。彼の上司に結婚の挨拶に来てたんだ。

偶然その場に遭遇したとき、とても幸せそうに笑っていたんだ。僕に気付いて気まずそうな顔もしてたけどね』




「確かに気まずいとおもってしまうかも、ですね」




その場を想像して苦笑しながら言うと、同じように笑って頷いた。




『だよね。彼も微妙な顔をしてたよ。まだ僕が彼女に好意を寄せてると思ったんじゃないかな。

久しぶりに会う上司として彼女と2,3言葉を交わしただけなのに、ひどく睨まれたからね』




おどけたような口調で言うからちょっと笑ってしまった。




「彼は、ヤキモチ焼きなんでしょうね」




『男はみなヤキモチ焼きですよ。それを態度に出さないだけです。出した彼はまだまだってことです』




ちょっと勝ち誇ったように言うからますます笑ってしまった。