「弥生ちゃんの彼氏?」

リコちゃんはふざけた口調でそんなことを聞いてきた。

その質問に弥生ちゃんは吹き出すと、
「違うよ、あたしの弟」
と、言った。

「弟?

弥生ちゃんに弟なんていたっけ?」

首を傾げるその姿は、見てるものをドキッとさせる。

わかってやってるんだったら確信犯だぞ。

「まあ、とりあえずは弟みたいな」

ハハッと笑いながら言っている弥生を見ていたら、彼女に肘をつつかれた。

「ほら、自己紹介」

小声で言ってきた弥生に、
「初めまして」

俺は言った。

「舘嵐です」

リコちゃんはニコッと笑うと、
「桜狩梨湖(サクラカリリコ)です」
と、自分の名前を言った。