部室の中
紙田はニヤニヤしながら

「今日はいいことを教えてやろう」

「なんですか?」

「フフフ…それはな」

紙田を勿体ぶったように間をあけ

「久しぶりの依頼だ。風紀委員長から」

「……」

嫌な予感がした。

「毛虫最低十匹を駆除だ。いいか?十匹だ」

―今秋だろ

「よし、そうと決まれば行くぞっ!!」

そう言う紙田は、袋とピンセット、軍手を装備していた。

「やる気マンマンですね」

「おお!!」

―てか絶対風紀委員長に恨まれてるよ

「レッツゴー」

変な発音とともに、佐藤と紙田は部室を出た。

まず二人が行ったのは、裏庭だった。
ここは毛虫がよく出るので有名だった。春は

「いいか、最低十匹なんだ、つまりこれは百匹捕まえろってことだ」

「十匹は十匹でしょ…」

「違う!!最低がついてんだぞ!!これは『あんたらには十匹しか捕まえれねーだろ。ばーか』という意味が含まれている」

「あんたらって、俺も入ってるんですか!!?」

「ああ、当たり前だろ。お前馬鹿じゃん」

「いや、あんたに言われたくないし!!」

「つべこべ言わずやるぞー、風来坊撲滅計画」

「毛虫駆除ね…そんなグロテスクなしないから!!」

「風来坊って何?」

「知らん。自分で国語辞書で調べろ!!」

「ふうらいぼう【風来坊】
どこからともなくふらりと来た人。また、一つ所にとどまらない、気まぐれな人。
だってさ」

「どこから国語辞書調べたんですか?」

「風紀委員長=風来坊だよな?つまり風紀委員長潰せばいいってわけか?」

「違います」

「風紀委員長撲滅か?」

「だから違います」

「んじゃんじゃ、風紀委員長の顔に落書きすればいいってことか?」

「違います、あと風紀委員長じゃなくて、毛虫ですから」